
今日は朝から、どこか慌ただしい雰囲気が漂っていた。
「千歳がまた外出しているね」
窓際で本を読んでいた桜花が外を見て、それから俺に視線を投げかける。
「そうみたいだな」
手元の漫画を読みながら、そう答える。
桜花はしばらく俺の方を見ていたようだが……ちらりとそちらを見ると、再び読書に戻ったようだった。
内心でほっと息をついた。
桜花は鋭い。
……というか鋭すぎる。
俺の僅かな表情から、察してしまう可能性は十分にあった。
事の発端は三日前にさかのぼる。
桜花と汐音が出かけている時に、千歳さんがやってきた時があった。
廊下で足を止めていたので様子を見ると、カレンダーを見ながら千歳さんが指折り数えていた。
「もうそろそろじゃない?」
「何がですか?」
「桜花ちゃんが正式に桜花荘に来てから」
「ああ……」
言われてなるほどと思った。
一年前の5月19日、俺の持ってる色を観測する力でありったけの想いをこめて、桜花をこの世界に繋ぎとめた。
それからの事は実は記憶が曖昧になる。
俺が倒れて、神社に居る所を汐音や麗奈達が見つけてくれて、そして病院に運ばれた。
意識が戻ったのはしばらくしてからで、入院やら手術やらでその後もしばらく退院出来なかった。
改めて日付を数えてみると、桜花が所在不明の幽霊じゃなく、きちんと自分の体を持った存在になってから、もう一年になる。
「それ、桜花は知ってるんでしょうか?」
「分かっていると思うけれど……前に戸籍を取りに行った時に誕生日の欄を5月19日にしていたから。その時は何でだろうと思ったけれど、改めて考えてみるとそういう事なのよね」
「誕生日かぁ……あいつやった事なんてないだろうし、良いかもしれないですね」
「桜花ちゃんの方はどう? もうすぐだけど、道隆君にそういう話題を振ったりしない?」
「全然さっぱりですよ。というか言われてたらすぐに分かりましたし。あれだけ本を読んでるんだから、誕生日って概念があるのは分かってるとは思うんですが……」
自分が祝われる対象になるという概念がすっぽりと抜け落ちている気がする。
あるいは、考慮した上で除外したのかもしれない。
桜花の成り立ちは一般的な人間とは違う。
両親から生まれ、一年ごとに年を経てきた人間が行なう物であって、成り立ちの違う自分には無縁の物だと考えていたも不思議じゃない。
実際、これまでそういう部分は沢山あった。
今回もきっとそうなのだろう。
「じゃあやりますか、桜花の誕生会」
「どうせなら、いきなりやってびっくりさせたいわよね」
「……桜花の事だから勘づかれそうですけど」
千歳さんは少し茶目っ気の混じった微笑みを浮かべた。
「そこはほら、道隆君が付きっきりで何とか誤魔化すとして」
「……いいですけど……」
「それじゃ汐音には私から話しておくわね。招待する人は……まあせっかくだから、この際、これまで御縁があった人は全員に声をかけましょうか」
「そうなると場所はどうします? 桜花荘の俺の部屋じゃ手狭になるかも……」
「うちの居間を使うから大丈夫。そっちで支度した方が桜花ちゃんにも気づかれにくいと思うしね」
「わかりました」
そこまでお膳立てしてくれるなら、断る理由はなかった。
汐音の方は千歳さんがしてくれるから、俺からは先輩と麗奈に連絡を取った。
『桜花さんの誕生日?』
電話口で麗奈が訝しげに聞いてくる。
昔から桜花荘に居た幽霊だったのにと言いたげだが、気持ちは良く分かる。
「ああ、今は人としているんだから、人としての生活なら外せないだろ? そこで麗奈にも来て欲しいんだけど」
『もちろん行くわよ。行かない理由の方がないでしょ』
「そうなんだけれど、もう一つお願いがあって……」
『お願い? 珍しいわね』
麗奈に物を頼む事はあるが、お互いに結構ズバズバと物を言う。
こうして前置きをするなんて珍しいと俺も思う。
「波多野にも声をかけてくれないか? 桜花が幽霊だった事も知ってるし、アレからも色々と付き合いはあるけど、俺から直接は誘いづらくて」
『なんだそんな事。分かったわ。他には?』
「優枝さんも声掛けようと思うんだけど、連絡先が分からないんだよ。そっちも分かったら頼む」
『構わないわ。明日行って伝えておくわね。日時と時間は?』
「19日の夜だな。6時くらいで考えてる」
『ちょうどディナーに合わせるという訳ね』
「せっかくケーキにロウソク立てるなら、暗くなってきてからの方がいいだろ?」
『……ま、構わないけれど。桜花さんは誕生日も初めてなのよね……ならベタな方が良いのかもしれないわね』
「そういう訳だから、よろしく頼む。ケーキとかは千歳さんが行きつけのお店で頼んでくれるらしい」
『分かったわ』
麗奈への電話を切り、今度は先輩に掛けた。
用件は同じだが、途中から先輩が切りだしてきた。
『皆の分の料理を作るにしても、人手が必要よね。ケーキは任せるとしても、食べられる物を持っていく事にするわ』
「いいんですか?」
『逆に量が多くなりすぎても困るだろうから、本当に簡単な物だけれどね。それにサプライズでやるなら、数人が慌ただしく準備をし続けているよりは、大勢で少しずつ持ち寄った方が気づかれない物よ』
「なるほど……わかりました。よろしくお願いします。そうなってくると、俺も何かした方がいいのかな……」
俺もジュースくらいなら買い物いったついでに用意は出来る。
ケースで買って藤宮家の方に置いておけばバレないだろう。
『それには及ばないんじゃないかしら』
でも先輩からの返事はあっさりしたものだった。
『それにこれはあなたへのお祝いでもあるんだから、普通に過ごしていれば良いと思うわよ』
「俺へのって……桜花の誕生日ですよ?」
『将来の奥さんでしょ。なら似たようなものじゃない』
……思いっきり声が笑っている。
でも、今さら桜花との付き合いを止める訳にも行かず、生涯付き合うと決めたのだから、結局はそうなりそうな感じでもある。
「…………ありがとうございます」
それでも俺の声色は余程面白かったらしく、先輩は電話越しに笑っていた。
涼子ちゃんの方は汐音から連絡をしてくれているから、修平と美緒ちゃんに連絡を入れれば終わりだ。
それでも、涼子ちゃんに一応メールを入れておく。
……すぐに着信音が鳴り響いた。宛先を見ると涼子ちゃんからだった。
『もしもし、先輩ですか? 桜花さんのお誕生日おめでとうございます』
「ありがとう……でも当日本人に言ってやってくれ」
『あ……そうですよね。私ったら……。でもなんだか嬉しいです。それで私も何かご用意しようと思うのですが、桜花さんの好きな食べ物などを教えて頂けたらと思いまして』
「好き嫌いは無いんじゃないかな。結構何でも食ってる。好奇心は旺盛だから、見た事無い料理はまず食ってみてる。甘い物は好きだけど、ケーキは千歳さんが用意してくれてるから、そっちは大丈夫そうだ」
『お料理はどなたが作られるのですか?』
「多分、千歳さんだな……俺も手伝おうとは思ってるけど」
『じゃあお野菜を持っていって、そちらのお手伝いをしようと思います』
「本当? それは千歳さんも助かると思う」
『あ――う、で、ですが、そこまで上手くないので御迷惑にならないといいのですが』
「大丈夫大丈夫。人手はいくらあっても困らないだろうし。それじゃ楽しみにしてるよ。時間とかはメールで送った通りだから」
『はい。分かりました。それでは失礼します』
それで通話が切れた。
手にした携帯を見ながら思う。多くの人と繋がってる……と。
子供の頃ではなく、ここにやってきて桜花とはじめて出会った時、あいつは孤独な幽霊だった。
千歳さんはたまに姿を見たり、意思疎通が出来たようだけれど、それでも居るか居ないか分からないモノでしかなかった。
それがあの日、俺と出会い……個人としての存在を確立して、そして大勢の人と知り合っていった。
今の桜花は外の世界とも繋がっている。
義務教育分の学歴すらないから、そちらの認定試験等も受けて、俺たちの考える『普通』に馴染もうと努力をしている。
抜群に頭のいい桜花だからこっちは心配してない。
来年には大学受験の資格まで取得してしまう程の勢いだ。むしろ今年度中にうちの学園に編入してくるかもしれない。そうなったとしても桜花なら驚かない。
外に出る事が増えたから、普段の着物から洋服を着る機会も増えた。
今では外で知り合った友人もいるらしい。
……実の所、桜花が少しずつ外の世界に馴染む事に、少し寂しい気持ちがあるのは否定できない。
でも桜花の頑張りは、俺たちと共に同じ人として生きていくという目標に沿った物だ。
そうして生きていく中で沢山の人と出会い、別れ――それでも俺たちは共に居るのだろうと思っていた。
「どうかしたのかい?」
先日の事を思い出しながら、桜花を見続けてしまっていたらしい。
訝しげに問い返してくるのを、慌てて誤魔化した。
「何でもない。今日は暑いから着物は大変じゃないかと思って」
「そういう目をしてなかったけれどね……ふむ、まあ答えてしまうと実の所、少々暑い」
「やっぱそうなのか」
昨年の時からそうだったが、桜花の服のバリエーションもずいぶんと増えた。
前の夏休みの時なんか、涼しいという理由でシャツ一枚にホットパンツで過ごしていて、胸元がほぼ全開で無防備極まりない姿で過ごしている事もあった。
「ただ、今日はこの格好で過ごしたい気分だったんだ。どうしてか分かるかな?」
「どうしてって……」
それは、俺たちが計画しているお祝いと同じ気持ちなのだろう。
「……初めて出会った時に着てた格好だから?」
勤めて平静を装って言うと、桜花は苦笑した。
「半分だけ正解だ。この格好は……ボクのベースだからだ」
「ベース? 元になってるって事?」
「ああ。自らの存在が生まれて、そして見に纏っていた物だ。ただの衣服ではあるが、成り立ちを共にしたボクの体の一部だ。そこに意思は無いし、それを除けば特別という程の物ではないのかもしれない。……まあ、どこぞのお寺のように、幽霊が身に纏っていた衣服という点では意味があるが、それ以外の要素としては、ただの着物でしかない」
「ただの……以上に価値はあるっぽいけどな」
「金額に換算したら、あるいはそうなのかもしれないね」
衣装の細やかさや使っている材質など、俺のイメージが思い描き、桜花と言う不確定な存在が生み出した物だ。
そこらの着物よりも遥かに豪勢な一品……らしい。
詳しくは分からないが、桜花の事を調べるという意味で着物についても調べて貰ったらしいが、後からそんな事を教えて貰った。
「ま、そんな理由で、今日はこの格好でいたいんだ。ボクは人としての成り立ちは違う。けれど、ただの幽霊であった頃から、ボク自身の成り立ちの意味を探していたからね。その気持ちは実は今でも変わっていない」
「お前の成り立ちなら、もう――」
言いかけると、桜花はまだ話は終わってないとばかりに微笑んだ。
「道隆が教えて、与えてくれた。でもそれとは違う……いや、こう言うと誤解を与えてしまうか。ボク自身が見つけ出さなくてはいけない物だと思っているんだ。道隆と共に歩いていく。それ自体は変わらないんだけれど、人間誰しも考えるであろう、人として生まれて人として為すべき事……それを見つけるまでは、たまに自分が人で無かった頃である、原点に戻るのも良いのではないかと思っている」
「人として為すべき事……そんな大層な事、俺は全然考えた事がなかったなぁ」
そう言うと桜花は意外そうに首を傾げた。
「本当に?」
「ああ、全く無かった。あ――いや、でも……」
「やっぱりあった?」
「……改めて聞かれると難しいな。あの一瞬、桜花をこの世界に残さないといけないと思った時だけは、それが俺の全てだった。もし俺にやるべき事があって、そのための偶然の連鎖であんな色が見える力が合ったんだとしたら、それはきっと桜花と出会って、桜花を人にするためだった」
「あの時の道隆は頑固だったからね」
「それだけ必死だったって事だよ」
……あれ? でもそうなると、どうなるんだろう。
俺はもう人生でやるべき事を全てやり遂げてしまったんだろうか?
じゃあ残りは……?
桜花と一緒に居るというのだけを目的に生きていくんだろうか。
そこまで考えて、なんだかとても寂しい気持ちになった。
「俺も……探さないといけないな。次の目標を」
「じゃあ二人で見つけないといけないね」
「ああ」
桜花と手を繋ぐ。
それから――強く引っ張られた。
「では話も綺麗にまとまった所で、道隆や千歳がしている隠し事の内容をそろそろ教えて貰おうか」
「あ――やっぱ気づいていたのか」
「当然だろう。道隆を最も近くで見てるのはボクだ。気がつかないはずが無い」
横目で時計を見る。
若干早いが……早すぎるという程でもないだろう。
「……分かった。白状する。ただその格好だと汚れるかもしれないけれど」
「汚れる……? いや別に構わないよ。それ自身もボクに刻まれた歴史の一つになる」
「桜花がそう言うなら……」
桜花と手を握ったまま、立ち上がる。
そのまま桜花荘を出て隣の藤宮家に連れていった。
呼び鈴を押すと、中から出てきたのは涼子ちゃんだった。
「あ、先輩……と桜花さん」
「やあ涼子ちゃん。ちょっと早いけれどバレてしまった。ちょっと早いけどもう大丈夫かな?」
「え、ええ。そうですね、もう少しですので多分平気だと思います
「涼子も一枚かんでいたのかい?」
「あ、はい。……あれ? じゃあ本当にバレてしまった訳ではないのですね?」
「半々って所かな」
「……それ、さっきボクが言った台詞を真似ているだけだよね」
不機嫌そうな桜花に背を押されて、藤宮家に入る。
中に入ると、リビングを飾り立てている麗奈や汐音、先輩の姿があった。
「ちょ、ちょっとぉ! タカちゃん連れてくるの早いよっ」
「……きてしまったものは仕方ないわ。ほら、桜花さんはこっちに座らせて」
「あ、ああ。だが待ってくれ、これは一体」
慌てる桜花を麗奈が引っ張るようにして、主賓の席に座らせる。
正面にあるのは飾りつけられた『誕生日おめでとう』の文字があった。
「桜花は、さっき自分のベースになったから、その着物を着て振り返っていたと言ってただろ? 皆同じだよ。お前が人としてここに生まれて、やってきて……そのお祝いの支度をしてたんだ。本当はもう少し後でバラすつもりだったんだけど、ここまで来ちまったら後は同じだしな」
「……話には聞いていたけれど、誕生日……ボクのために、お祝いを?」
「桜花さんだけのためじゃないよ。わたしたち皆がやりたいって思ったの」
「ええ、それに道隆が普段からお世話になっているもの。これくらいのお返しをしてもバチは当らないわ」
汐音と麗奈が言う。
桜花はその言葉をかみしめるように、そうかと呟いた。
「私もです。普段から御一緒させて頂いている方のお祝いをするのは、当然です」
「じゃあせっかく来たんだから、桜花さん、ちょっとこれの味見をしてみてくれない?」
涼子ちゃんに続き、キッチンから出てきた先輩が小さなお皿に小さく切ったチキンを持ってきた。
食べやすいように楊枝が添えられている。
「……美味しい……。良い味だと思う」
「そう? お口にあってよかったわ。もう少し出来るから、待っていてね」
「あ、ああ……」
桜花は茫然とその光景を眺め――不意に、涙をこぼした。
「あれ……? すまない。そんなつもりじゃなかったのだけれど、少し驚いてしまったみたい……だ」
「桜花さん……」
汐音がハンカチを渡す。
桜花はそれを受け取ると、目元に当てた。
「言葉は知っていたけれど、ボク自身を祝って貰えるとは思ってなかった。だからなのかもしれないけれど、驚いてしまった……すまない」
「ほら、タカちゃん」
汐音が俺の背を押す。
「一番最初はタカちゃんが言わないとダメでしょ」
「ああ……だな」
こほんと咳払いをして、桜花に向いた。
「改めて誕生日おめでとう。桜花がさっき、自分自身の生まれと、この先の生きる目的を探しているって言ったけれど、それは俺自身もきっと同じなんだろうと思う。ただ……えっと、だから……」
「道隆、しっかりしなさいよ」
「わ、分かってるっつーのっ! ……あー、ごほん。ただ、この先もずっとこうしてお祝いが出来たら良いと思ってる。今はまだそんな事しか考えつかないけど……桜花が人として生きてそれでよかったと思って貰えたなら、俺は……あ、いや。俺たちは嬉しいんだろう」
「……うん……」
桜花の目から再び涙がこぼれおちる。
「だから、おめでとう。そして来年も一緒に祝いたいとそう思っている」
「お誕生日おめでとう。桜花さん」
汐音が俺に続く。
皆から少しだけ早いお祝いを受けて、桜花は顔をくしゃくしゃにして、涙をこぼしていた。
その後は準備の続きを行い、桜花の誕生日を祝った。
ケーキにロウソクを灯してそれを吹き消す。
本で読んだ通りだと笑っていた。
誕生会が終わり、帰る皆を見送る。
今日は後片付けもいいと、俺と桜花も帰されていた。
「少しだけ、分かったかもしれない」
桜花荘に帰りつくと、ふとそんな事を言った。
「今日、ボクは祝って貰った。今度はボクが皆を祝う側になりたいと思っているんだ」
「持ちつ持たれつってやつだな」
「そうだね、そういう話しだ。でも……それで良いんだと思った」
思い返しながら、嬉しそうに桜花は続ける。
「皆がボクを祝ってくれた。ボクはお返しをしたいんだと思った。そうして何年も何年も続いていったら、それはきっと縁と呼ぶにふさわしい物になっている。新しく生まれて、生活をはじめて――でもボク自身は今後どうするのか具体的な像は曖昧なままな所があったんだ」
桜花は俺と共にいると言った。それは彼女の生き方の話として今も変わってはいないだろう。
だが、漠然とした未来図だけでは人は生きられない。
もう少し地に足がついた出来事が必要だ。
「だから、まずは来年だね。その時までボク自身が今日受けた嬉しさを皆に少しでも返せたらと思った。そう考えたら、言葉では言い表せない気持ちが出てきた。なら今はそれを実感するために、日々を生きてみようと思った……言葉が上手くまとまらないな。でも思った事を道隆に伝えたかったんだ……」
「……分かるよ。何となく」
それは桜花と出会い、別れを経験して俺が思っていた気持ちに似ているのかもしれない。
日常の延長でありながら、そうではない――この先に何かが起きるような、わくわくした気持ちだ。
「ありがとう道隆。それで願わくばなのだけれど……」
頬を染めて、上目づかいに言う。
「この先も迷惑をかけるかもしれないけれど、よろしく頼むよ」
「ああ、任せておけ」
恋人のお願いに、そう胸を張って答えた。
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